都筑区緑道保全における市民団体のICTツール活用による活動の支援
小林佑輔 米本祐太
背景と目的

図1 : 緑道ウォッチング集合写真
我が、東京都市大学横浜キャンパスが位置する横浜市都筑区には、街の南北にそれぞれ緑地で構成された歩行者専用の緑道が走っている。この緑道には都筑区で締結された緑地協定があり、それによって地域の緑化と緑地の景観が守られ、街の中心に居ながらにして身近に緑を感じられるつくりになっている。ところが、近年、土地の売買等々の事情からこれらの協定が一部守られていない。そのため、緑地の管理が十分にされない部分が発生し、景観が損なわれる等の弊害が出ている。この事から、都筑区の“水と緑の魅力アップ協議会”(以下、協議会)という市民団体は、こういった問題の解決に取り組むべく緑道を始めとする街の自然調査や、行政や土地管理者との対話を継続的に行ない、都筑区緑道の保全を始めとする都筑区の自然保全などの活動を行い都筑区に貢献している。本プロジェクトでは、こういった団体の活動を支援するために、情報発信や活動支援に活用できるICTツールの提供・支援を行なった。
概要

図-2 Goovie で作成されたマップ
この活動では、GoovieとWordPressとNOTAを用いて進めていった。まず1つ目のGoovieとは、GPS機能のある携帯電話で写真を撮影し、位置情報を写真に付加させコメントと一緒に指定されたメールアドレスに送信すると、GoogleMapに位置情報に合わせて写真やコメントとが自動投稿され表示するシステムである。また、PCから表示・再編集が可能である。このシステムを2008年4月6日および5月24日、協定緑地の現状調査のサポートの為に用いり調査の参加者に積極的に利用していただいた。緑道の魅力的な箇所や景観上問題のある箇所などの投稿が寄せられ、Goovieを利用することで、位置情報と視覚情報を瞬時にインターネット上にまとめる事ができた。そして、紙媒体へのメモや頭に記憶するやり方で発生する写真撮影場所の忘却と、コメントのつけ忘れが防げる結果となった。このウォッチング後、緑道が抱える問題などについて振り返りを兼ねてのワークショップが行われた。この日は模造紙サイズの地図と付箋を用いての意見出しを行なった。こうした従来型の意見出しの方法は、場所や情景を思い出しながら地図を埋め、その後の議論となる。今回は意見出し後データ通信端末を利用してGoovieの画面を通してウォッチングの成果を実際に見て頂いた。Goovieには直前の緑道ウォッチングの軌跡がしっかりと電子化されており、リアルタイムで情報をストレージさせておくことによって、このような場で直ぐ写真・コメントを見ながら現場で感じたことについて、議論を深める事が出来る事に、高い関心を持って下さったようであった。次に2つ目のWordPressとは、PHPというプログラミング言語と、MySQLというデータベースをサーバーにインストールさせ利用するオープンソースのブログソフトウェアである。一回インストールすれば、ブラウザ上でサイトの更新・デザインの変更やカスタマイズ、アカウントやコンテンツの管理などが容易に行える。このシステムを利用して協議会のWebサイトを構築した。そして3つ目のNOTAは、ブラウザ上で文字、絵、図などを直接書き込んだり、画像を貼付けたりするなどが容易に行えるソフトウェアである。ファイルのアップロードもブラウザ上で行うことができ、直感的に操作が可能である。このNOTAを用いて、市民間の意見交換が可能なコミュニケーション用ページを構築した。
サイト構築の経緯

図-3 緑道まとめサイト
考察
このような活動からICTツールを用いることで様々な活動の支援を行える可能性が見えてきた。GoovieのようなICTツールを用いることで、地図による位置情報の把握と、動画像やコメントによる現状把握が同時に速報的に行え、今回の緑道ウォッチングのようなフィールドワークの現場や、フィールドワークのあり方そのものを変えていくことにつながるのではないかと考える。また、情報発信の支援に対して大きな力をもつインターネットの活用は、今後も大きな成果を出してくれることと期待している。今回の取り組み成果を今後に生かし、今後、都筑区の地域情報をインターネット上に集約し保全する「都筑区デジタルアーカイブ」の製作にも乗り出し、新たなICTツールのあり方を模索する計画である。